モバイルバンドサウンドシステムの中で
一番頭を悩ませたのはベースアンプです。
低価格、低消費電力、低出力、小口径スピーカー、では
いくらイコライジングで低音を出しても
バンドの骨格である「芯」を作り出す事は出来ません。
練習ならともかく、ライブでは他の音に埋もれてしまいます。
ただ鳴ってればいいのなら簡単でしょうが、
バンドの「骨格」となる音となると
ちょっと厄介になりそうなことは想像が出来ました。
しかし私は、世の中のベーシストが
「モバイルバッテリーで稼働する音」として
誰しもが驚愕するであろうベースシステムを構築することができました。
消費電力、音量、音圧、ヌケ
どれをとっても最高のバランス、最高の音質です。
トレースエリオットは良くも悪くも癖のある音で有名な
メーカーのようですが、電池で動くならこの音にだれも文句を言わないでしょう。
逆に電池で動かなくてもいいなら、いくらでも他に選択肢はあります。
その
Omni13(モバイルバッテリー)+トレースエリオットの
ベースアンプシステムがこちら
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簡単なシステムにみえるかもしれませんが、
ここまでたどり着くには苦労がありました。
細かいセッティングに関しては、まだまだ試行錯誤なのですが
おおまかな概要をお伝えしようと思います。
核となるベースアンプは
トレースエリオットのELFです。
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ここでアンプに限らず、電子機器全般に言える事ですが
カタログの出力表記、または消費電力の数値は
実際の消費電力と全く異なる事を知っておいてください。
上記リンクのアマゾンレビュアーも勘違いをしていらっしゃいますが
実際の消費電力は、練習音量で10wちょっと。
ライブ音量でも30w未満です。
スピーカー(キャビネット)はベースの音質に大きく影響します。
私は電池で動くPAシステムを構築していますが、
音質に関して妥協をしません。
音の芯を作り出すには、キャビネットの質量、スピーカー口径のチョイス
がとても重要です。
小型ベースアンプのPJBも試聴しましたが
音圧感のなさが
ロック寄りの音楽には合わないと感じました。
少し重く大きくなりますが、ベースのキャビネットは
苦労してでも運んだほうがいいとの判断で
これを選んだのが大正解。
大音量でのパフォーマンスはもちろんの事
(一般家庭では鳴らせない音量です)
音量を絞ってもスカスカにならないので
練習さえ楽しみになると思います。
ただ、このシステムには大きな欠点がありました。
omni13(ACコンセント付きモバイルバッテリー)
で運用すると、家庭用コンセントでは発生しないノイズが
盛大に発生するのです。
いくら音質が良くても、ノイズが乗っていては興ざめしてしまいます。
ノイズを消す事は出来ませんでしたが、
ノイズをできるだけ気にならなくする方法は見つかりました。
ノイズは、ELFのゲイン値と連動して大きくなります。
ということは、最小限のゲイン値で十分な音量を得るために
入力感度を増幅してあげればよいわけです。
オーディオで言うプリアンプという所でしょうか。
低消費電力でライブシステムを組むには、アーティストの持ち込み機材では
提供電力に制限があるのでつじつまが合わなくなってしまいます。
私が提供するバッテリー式ライブシステムは、機材固定が条件です。
ですがやはり、音楽を極めれば極めるほど音の傾向には好みが出て来るわけでして。
そこでこんなツールが役に立ちます。
TRACE ELLIOT Transit B
つまみを少し回すだけで、音がダイレクトに変わり変化します。
プリアンプとしても優秀ですが、それぞれのエフェクト、スイッチ、ダイヤルの効果が
初めて触ってもわかりやすい。
ゲインとマスターはある程度こちら側でコントロールしなければ
破綻しやすいのですが(今回ノイズ低減が大きな役目なので)
音の傾向づくりは、初めて触った人にでも感覚、直感で操作が可能です。
私はコピーバンド止まりだったので、ちゃんとしたベースの演奏はできませんが
アマチュア以上のベーシストならずっと気持ち良く弾いていられる音質だと思います。
良い意味でモバイルバッテリーから繰り出される音ではありません。
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このプリアンプとELF(アンプ)の電源は
このブログでおなじみOmni13から
分岐して取っています。
合計消費電力は、控えめ音量で
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15w程。
ライブ音量になるとピークで20w後半。
今の所30wを超えた所は見たことがありません。
マキタやHikokiの工具用バッテリーと接続して使用すれば
エンドレスで使い続けることが出来ます。
プリアンプで入力感度を上げて
アンプのゲイン、出力を抑えているせいもあるかもしれません。
ただ、実際のライブ環境では使用していないので話半分で聞いておいてください。
私がこのプリアンプをDiとして使用しミキサーにぶち込まないのは、
一度試奏した時に中国製メインアンプの電源落ちが頻繁に発生したからです。
PAで使用しているエレクトロボイスのスピーカーは、十分な低音と素晴らしいヌケを提供してくれますが
おいしい音質、音圧にすると過大入力時に中国製アンプの電源が耐え切れずに落ちてしまうので、
ライブでは怖くて使えないと判断しました。
ちなみに、常設用ベース、ギターにスタインバーガー(もどき)を選んだのは
非常にコンパクトであること。
白にしたのは炎天下の演奏でもボディが熱くならないようにです。
そして私が最終的に目指すのは、
電源の有無に関わらず行える価値あるフリースタイル音楽イベントです。
正直な話今、他の業界と比べて音楽業界は
お金が適正に循環しているとは思えません。
ではどうすればよいのか?
お金が回らなければ、対価で動かせばいいと考えました。
対価、価値とは、ただ「現金」の事をいうわけではないと思います。
ですがその価値が必ず、また現金に変わるタイミングが来るはずです。
自分はこの先どうだかわかりませんが、
世の中でビジネスを成功させている人は
そのタイミングを読める人でしょう。
数年後もこのブログで、内輪の趣味レベルで
PAごっこをしてたらどうぞ笑ってやってください。
最後に。
今回のノイズの大きな原因は電源(バッテリー駆動)からくるものでしたが、
シールドが悪さするノイズもありました。
安物のシールドで気になったノイズが
カナレのシールドに変えただけで
かなり軽減されたことも報告しておきます。