私は防災、減災というものを特に非日常的なものと
考えてはいません。
災害を防ぐ、災害を減らす、疲労を減らすため楽をする、これらは
私の日常であり、これら防災関連の記事は、それらを基に
一般の方々の参考になればと思い書いています。
ですので、私は防災というものを何か特別な日の為の備えではなく
日常の延長として考えるのが、防災の正しい理解の仕方だと思っています。
何度もブログで書いていますが、説明書を読まなくてはいけないような
使った事もない防災道具、本当に動くのかわからない
安物の防災ツールを、防災袋に入れておくというような
今までの防災スタイルを私は推奨しません。
道具は手足と同じように扱えて本当の能力を発揮します。
普段から積極的に使ってみる。が私の次世代防災システムの考えです。
先日行われた、震災対策技術展において
特に気になった理研化機工業株式会社の救助ツールを実際に購入して、
みなさんと情報を共有したいと思います。
箱のまま保管することを想定しているのか
使用方法が箱に印刷してあります。
理研化機工業株式会社の方にお聞きしたのですが、
災害被災時に、ジャッキが役に立つというデータは既にあるそうです。
しかしジャッキがあっても、回すためのハンドルが無くて困ったという
貴重な情報があったため、ハンドルを一体化できる構造としたという事です。
これならハンドルを無くす心配は確かにありませんね。
こういった工具にあまり詳しくない人が「使い方」に困らないためにも
箱や、本体にそれが書いてあるのだと思います。
これは、この道具の用途を特化しているからこそできるリスク対策の一つです。
この道具の性格から、常に説明書がそばにあるとも限りません。
上部ハンドル収納部は外して使うという事を書いておかないと、
この部品は何だ?という事になりかねません。
周りの人すべてが自分と同じ知識を持っていると思ったら、それは間違いです。
これはメーカー説明書にもない、やってはいけない事の一つなのですが
上部アタッチメントが付いたまま、ジャッキアップをしては絶対にいけません。
このようにジャッキアップしてしまうと、、、
(写真は撮影用に上にのせているだけです)
構造上、ハンドル部が本体の重要なリブ部分を破壊します。
私はテスト撮影で、うっかりハンドル部分を装着したままジャッキアップしてしまい
破損させてしまいました。
このまま使って問題が無いか、メーカーに問い合わせてみます。
このジャッキの凄い所は、能力が1.5tもある事です。
パンタグラフジャッキでこの数値は今まで見た事も聞いた事もありません。
0.5tの車載ジャッキとの比較
横幅が大きいという事は、単純に
高くあげられるという事でもあります。
(救助の場合は、物体の隙間をより大きく広げられるという事)
なぜ、ここまでの能力を持たせることが出来たのか?
力の集中するこの部分を見てみてください。
(ピントが合っている部分)
「噛み合い」部分の厚さに注目。
↑は0.5t用の車載ジャッキ。
↓これがレスキュージャッキ
倍以上あります。
ではなぜ、あまり重さが変わらないのか?
答えはここ
実は素材の厚みではなく、リブ?で強度を出しているようなのです。
四駆のハイエースも全く問題なく上がります
普段は普通にジャッキとして使います。
この高さは、いろいろ何かに使えそうですね。
負荷のかかっていない時の高さ調整は、
ハンドル接続部でちまちま回すより
シャフトを直接回したほうが早く楽に動かせます。
負荷のかかっている時は、当たり前ですが絶対厳禁です。
これだけストロークがあると、無負荷時の高さ調整が
結構大事な仕事になるので、参考にしてください。
動きは非常にスムーズです。
これから書くことは、メーカー的には禁止事項であり
私も実際の運用ではあまりお勧めしませんが、
絶対に気になる方がいると思うのでテスト結果を報告します。
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SK11のジャッキアップソケットです。
家にある、マキタの18Vインパクトレンチ2機種でテストしました。
大型インパクトレンチTW450Dと
小型インパクトレンチTW281Dです。
ソケットは完全にはまりません。
使える事は使えますが、そこまでリスクを背負って使うのは
どうかなという感じです。
ジャッキ側にもダメージを与えます。
ハンドル接続部が柔らかくて粘りのある鉄なのか、ソケットの打撃により段が付いてしまいます。
レスキュージャッキ + ハイエースのテストにおいて
小型インパクトレンチの281Dでは、ジャッキアップする事は出来ませんでした。
やはりTW450Dのトルクには絶対的な安心感がありますね。
グイグイ重いハイエースを持ち上げていきました。
しかしもっとびっくりしたのは、人間の知恵です。
最新のインパクトレンチでも動かせないようなジャッキとハイエースを、
時間がかかるにせよ、非力な人間が現実的な力で持ち上げてしまうのですから。
特に力学などを意識して考えなければならない職種なので、
力の作用に関しては「知っている」つもりでしたが
あらためて電気の力とこうやって比べてみると、
人の知恵と力は侮れないなと再認識いたしました。
実際、被災した時の人命救助活動というのは、そう単純なものではありません。
人に関わるという事は、リスクも生み出すという事です。
助けるつもりだったのに、倒壊を巻き起こしてしまい2次災害、等
往々にして起こりえます。
法律だけで解決できる問題ではありません。
誰かに訴えられないためには、人命救助をしないほうが良い
という事にもなりかねません。
現実問題、大震災時の人命救助活動は、答えが出る問題ではないのです。
パニック状態の中、どれだけ冷静に判断できるか私にも想像はできないですが、
自分が出来そうな事、出来ない事、どこまでやるのかを
今のうちに考えて、そのために行動するのが
現時点での最良の選択であると思います。
私は、一人で多くの人を助ける事は出来ませんが
多くの人を助けるために優れた道具を
実際に購入し、使い、紹介する事は出来ます。
これが私の現時点での選択という事になります。
今回つけてしまったレスキュージャッキのダメージ検証を兼ねて
理研化機工業株式会社に足を運ぼうかと考えています。
もし実演のようなことが出来るのであれば、それも含めて
後ほど、より具体的な救助ツールの使用方法等を紹介します。
メーカーには被災経験者からの情報も集約されているでしょうし、
より具体的なジャッキの使用方法を共有することが出来ると思います。